2017年11月15日
生命保険に加入することで、所得税や住民税が一部控除されることをご存知でしょうか。生命保険料控除と呼ばれ、生命保険に加入している会社員であれば年末調整で、個人事業主や会社に属していない方であれば確定申告で所得税と住民税を安くすることが可能になります。
ここでは知っておいて損はない、生命保険料控除についてご紹介します。
3つの控除枠
生命保険控除枠には3つの控除枠があるので紹介していきましょう。
【一般生命保険料控除】
生命保険や養老保険など、人の生死にかかわる保険の保険料が控除されます。
【介護医療保険料控除】
入院や通院など、医療費の支払いに対し保険金が支払われる保険(医療保険、がん保険、介護保険など)の保険料が控除されます。
【個人年金保険料控除】
年金を受け取ることができる保険で、一定の条件を満たし、個人年金保険料税制適格特約をつけた保険の保険料が控除されます。
以上の保険料の控除額は以下のとおりです。
所得税(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)
年間払い込み保険料 | 控除額 |
20000円以下 | 払い込み保険料の全額 |
20000円超~40000円以下 | 払い込み保険料×2分の1+10000円 |
40000円超~80000円以下 | 払い込み保険料×4分の1+20000円 |
80000円超 | 40000円 |
住民税(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)
年間払い込み保険料 | 控除額 |
12000円以下 | 払い込み保険料の全額 |
12000円超~32000円以下 | 払い込み保険料×2分の1+6000円 |
32000円超~56000円以下 | 払い込み保険料×4分の1+14000円 |
56000円超 | 28000円 |
平成24年度より前の保険の場合は旧制度の控除額を用いる!
生命保険料控除は平成24年の所得税から改正がされています。そのため、平成23年12月31日までに契約した保険である場合、改正前の「旧制度」の控除額が適用になります。
※前項で紹介した控除額一覧は「新制度」と呼ばれています。
旧制度の控除額 所得税(一般生命保険料、個人年金保険料)
年間払い込み保険料 | 控除額 |
25000円以下 | 払い込み保険料の全額 |
25000円超~50000円以下 | 払い込み保険料×2分の1+12500円 |
50000円超~100000円以下 | 払い込み保険料×4分の1+25000円 |
100000円超 | 50000円 |
旧制度の控除額 住民税(一般生命保険料、個人年金保険料)
年間払い込み保険料 | 控除額 |
15000円以下 | 払い込み保険料の全額 |
12000円超~40000円以下 | 払い込み保険料×2分の1+7500円 |
40000円超~70000円以下 | 払い込み保険料×4分の1+17500円 |
70000円超 | 35000円 |
新制度と旧制度が混ざることがある
控除額の計算をする際は、まず保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」で、年間の払い込み保険料の総額、また新制度・旧制度どちらに該当するのか確認します。
新制度、旧制度の判断は、その保険の契約締結時、また保険契約更新日が平成23年12月31日以前であるか、平成24年1月1日以降であるか見ることで判断することが可能です(平成23年12月31日以前であれば旧制度、平成24年1月1日以降であれば新制度が適用されます)。
新制度と旧制度が混ざった保険契約を持っている場合には、全体の控除額の上限は所得税で120000円、住民税で70000円となります(旧制度、新制度を合算する場合は、それぞれの控除枠の限度額は新制度のものを採用します。つまり、上記の表のとおり、所得税が40000円、住民税が28000円となります)。
ただし必ずしも新制度、旧制度を合算しなければならないわけではありません。例えば年間払い込み保険料が100000円を超えるのであれば、旧制度のみを適用させたほうが控除額は大きくなります。しっかりチェックしてより節税になる方法を選ぶようにしてください。
生命保険料控除を活用することで所得税や住民税を安くすることができます。しっかり計算して節税するようにしてくださいね。
ただし生命保険料控除は税金の支払いにかかわるものです。疑問点などがある場合は自分で判断しようとはせず、専門家に相談するようにしましょう。