2018年4月2日
PL事故の損害賠償をカバーしてくれるPL保険には、国内PL保険と海外PL保険があることをご存知でしょうか?
多くの企業が海外へと目を向ける昨今、加入の必要性に注目が集まる海外PL保険についてご説明します。
さまざまな業種で必要になるPL保険
1995年7月に施行された「製造物責任法」により、製造業者などは、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体、財産を侵害した場合、これによって生じた損害賠償の責任を負わなければならないと定められています。
製造物責任法は、英語で製造物責任を意味する「product liability」から「PL法」と呼ばれ、損害賠償の対象になる事故は「PL事故」と呼ばれることもあります。
PL事故の賠償責任をカバーしてくれる保険が「PL保険(生産物賠償責任保険)」です。
PL保険は製造業に限らずさまざまな業種で必要になるケースが考えられます。
業種によるPL事故例として、以下のようなケースが挙げられます。
製造業 | 製造した製品の欠陥によって火災を引き起こした場合など |
工事業 | 施工のミスや欠陥によって損害を出してしまった場合など |
飲食業 | 提供した飲食物によって食中毒が発生してしまった場合など |
サービス業 | 提供したサービスによってケガをさせてしまった場合など |
「海外PL保険」とは
PL事故は全世界で生じる可能性があります。このためPL保険は、対象となる地域によって「国内PL保険」と「海外PL保険」に分けられます。
国内PL保険は日本国内で発生したPL事故を対象とする保険であるのに対し、海外PL保険は海外へ輸出した製品によって海外で発生したPL事故が対象となる保険です
。
海外展開している企業や海外へ製品輸出を行っている企業であれば、安定した経営を維持するために海外PL保険への加入は必須であるといえます。
また、輸出や海外展開などを直接的に行っていない企業の場合でも、国内の取引先に納めた製品が部品などとして使われ、海外でPL事故を起こすケースなどもあります。
この場合、部品の製造業者として責任を問われることも考えられます。
自社の製品が何らかの形で海外使用される可能性があるなら、海外PL保険への加入を検討すべきだといえるでしょう。
海外PL保険の補償内容は?
海外PL保険がカバーする補償内容は、保険会社により異なりますが、基本的には以下のような内容になります。
・損害賠償金
損害賠償金を支払った場合、裁判や示談で決まった賠償金額について補償してもらえます。
ただし、別途支払う「見舞金」などは対象となりません。
・争訟費用
損害賠償を求める裁判を起こされ、敗訴すれば損害賠償金に加えて訴訟にかかった費用についても支払うことになります。
裁判ではなく示談などの場合でも、弁護士費用などがかかります。これらの裁判や和解のためにかかった費用についても、PL保険でカバーできます。
・損害防止費用
PL事故による損害の拡大やさらなる損害の発生を防ぐ措置を取るためにかかった費用をカバーします。
・権利保全行使費用
損害賠償金を支払った後、他社などに損害賠償請求をできる場合、その手続きにかかる費用についても補償されます。
海外で訴訟となった場合、賠償額が日本国内での訴訟と比べて莫大な金額になるケースも多いです。
このため、海外PL保険の補償には限度額があります。すべてが海外PL保険でカバーできるとは限らない点には注意が必要です。
グローバル化が進む現代、企業は国内PL保険と海外PL保険の両方に加入するのがベストですが、海外PL保険の保険料は安くありません。
自社に必要かどうか、どの保険を選ぶかは十分に検討なさることをおすすめします。